中国新聞 この人「藤井省三さん」 より 

 この二日、第七十四代の議長に就任した。県議会最大会派「創造」(十三人)の副会長である。わずか二票差で、一九五六(昭和三十一)年から続いた「県議会自民党」による議長ポストの独占に終止符を打った。


 所属する創造は二年前、知事選の候補者選びをきっかけに、県議会自民党が分裂して生まれた。県議会自民党が知事与党なら、創造は野党の立場だ。しかし、議会内では対立するものの、自民の党籍は自民党。党県連では組織委員長の要職も務めている。
 「国政姿勢と県議会の会派は別問題。地方分権の時代に、個性ある自治体を自分たちの手でつくろうとすれば、同じ党で会派が別れるのも矛盾することではない」


 就任後の会見では、「議会には条例制定などの権能が与えられている。県執行部とは車の両輪といわれながら、実際には能力の格差が大きい。議会の調査能力を高め、政策立案できるよう議会事務局を強化したい」と意欲を見せた。


 一方で「(任期中の)二年間に、参院選もあれば、統一地方選・知事選もある。解散総選挙もあるかもしれない。県政の枠組みが大きく変わるだろう」と、県政改革への期待もにじませた。


 父親の故政雄氏も県議会議長を二期務めた。父亡き後、精神科医・病院院長から政界入りした。今では県政の柱となった環日本海交流に早くから関心を寄せてきた。今後の県政に必要なのは「(環日本海経済圏の拠点づくりという)目標を明確にしたうえでの戦略性だ」と強調する。


 趣味は野球、ゴルフ、読書。県議会の野球チームではかつてエースを五年間務めた、大の阪神ファンで、「最近は、酒を飲みながら対巨人戦を見るのが一番の幸せ」。短気な一面もあるそうで。座右の銘は「堅忍不抜」。東伯郡東郷町に、妻の啓子さんと二男、二女と四人暮らし。五十六歳。